このページでは、「展示タイム情報がイン逃げを予想するために必要なのか」を統計データから調べた結果をご紹介します。

競艇のオフィシャルサイトや各場で公開しているデータの一つとして、展示タイムがあります。 各艇の直線での速さを表しているのが展示タイムですが、1号艇が逃げる条件として、展示タイムは関係があるのでしょうか?

今回は、レース結果を収集したデータベースから統計データを抜き出し、展示タイムがイン逃げにどのぐらい影響するのかを検証していきたいと思います。

展示タイムとは

展示タイムとは、本番レース前に行われる周回展示航走の2週目、バックストレッチ150mを走行した際の時間です。 計測は大時計を通過した地点から2マークまでの区間で行われ、レーザー計測や手動など場によって異なる方法で計測が行われます。

艇が最高速に達してから計測が開始されるため、展示タイムはその艇の最高速度を計測していることになります。

タイムの差は何艇身?

展示タイムは、十分の一秒まで計測されます。

この「.01」の差は実際の距離でどのくらいの差があるのでしょうか? 実際に計算で差を算出してみました。

展示タイムの基準値を6.80秒として、0.01秒、0.05秒、0.1秒速くした場合の3パターンを比較します。

基準 0.01秒 0.05秒 0.10秒
展示タイム(秒) 6.80 6.79 6.75 6.70
時速(km/h) 79.4 79.5 80.0 80.6
基準との差(艇身) - 0.08 0.4 0.8

0.01秒速いと0.08艇身、0.05秒速くなると0.4艇身、0.1秒速くなると0.8艇身前に出ることが計算からわかりました。 ちなみに1艇身前に出るには、展示タイムを0.13秒速くする必要があるようです。

このことから0.05秒以内の差については大きな差ではないので、誤差と捉えた方が良さそうです(特に手動計測の場合)

展示タイムとイン逃げ率

それでは、展示タイムとイン逃げ率に関係があるかどうかを検証してみましょう。 風や水面状況などで展示タイムの値自体が大きく変わってしまうので、 今回は出走した6艇の中で何番目だったかを表す展示タイムの順位をデータとして使用します。 展示タイムが速いほどイン逃げしやすいのでしょうか?

展示順位別イン逃げ率

集計期間:2018/5/1~2020/4/31(風速5m以下のみ)


展示タイムが下位へと下がるとともに、イン逃げ率が下がっています。 最も高い1位が19%なのに対し、最も低い6位は3%と確率に幅があることが見て取れます。

この結果から、展示タイムが速いほどインコースの勝率があがりやすいということがわかります。

占有率

次に、それぞれの展示タイム順位が、全イン逃げの中でどのくらいの割合を占めているかを示したデータを示します。

集計期間:2018/5/1~2020/4/31(風速5m以下のみ)


1位が最も高い35%でそこから順位が下がるとともに占有率が低下しています。 展示タイム上位の1~3位(赤色部分)を合計すると、全イン逃げの70%以上を占めていることがわかります。 以上の結果より、 展示タイムが速いほどイン逃げが発生する確率が高くなるということが統計データからわかりました。

競艇場別の違い

次に競艇場によって、展示タイムがイン逃げに与える影響に違いがあるのかを検証してみました。 今回使用するデータは、展示タイム順位の占有率を1~3位まで合算した値で、競艇場ごとに算出しました。 占有率データを使用することで、競艇場別の1着率の違いを排除しています。

場名 1~3位占有率合計(%)
住之江 81.1
徳山 80.9
福岡 80.1
鳴門 78
蒲郡 77.6
戸田 75.9
児島 75.7
丸亀 75.1
浜名湖 73.8
桐生 73.6
芦屋 73.6
若松 73.2
常滑 72.9
唐津 72.5
江戸川 71.7
びわこ 71.5
平和島 71.4
下関 70.1
68.6
三国 67.9
宮島 67.9
多摩川 65.5
大村 64.1
尼崎 62.1

最も展示タイムがイン逃げに関係したのは住之江競艇場で81.1%という結果が得られました。 反対に、最も関係性が低かったのは尼崎競艇場で62.1%でした。 この結果から競艇場の違いが最大20%近くの差を生じるため、 競艇場によって展示タイムがイン逃げに与える影響は大きく変わることがわかります。

インが強い場と展示タイム

今回の競艇場別の比較からみえた興味深い点は、「インコースが強い場=展示タイムが影響しにくい」という関係性は見れなかったことです。

インコースが強い場として有名なのは、「住之江競艇場、尼崎競艇場、徳山競艇場、芦屋競艇場、大村競艇場」です。 先ほどの表からこれらの競艇場の結果抜き出してみると、

  • 住之江:81.1%(1位)
  • 徳山:80.9%(2位)
  • 芦屋:73.6%(11位)
  • 大村:64.1%(23位)
  • 尼崎:62.1%(24位)

となります。

展示タイムとイン逃げの関係が強いのが「住之江、徳山」、低いのが「大村、尼崎」で、その中間に位置するのが「芦屋」という結果でした。

この結果から、インが強い場全てが同じ関係性であるというわけではなく、各場の特徴をおさえる必要があるようです。

つまり、住之江や徳山では「インコースの展示タイムが遅いときにインが負ける可能性を考える」必要があり、逆に大村や尼崎では「展示タイムが遅くてもあまり気にしなくてもいい」のかもしれません。

まとめ

今回は、展示タイムはイン逃げに影響するのか?をテーマに統計データを紹介しました。 その結果、

  • 展示タイムが速いほどイン逃げの可能性が高くなる
  • 場によって展示タイムとイン逃げに与える影響は異なる

ということがわかりました。 場ごとの特徴をしっかりおさえて、舟券戦略に活かしていただければと思います。  

バーナークリックで応援お願いします!
にほんブログ村 公営ギャンブルブログ 競艇へ

シェアする