このページでは、モーターが良くても展示タイムが出にくい選手は誰なのかを紹介します。

史上初の無観客開催となったボートレースオールスターは、篠崎仁志選手の見事なイン逃げで終わりましたね。

昨年の準優勝戦でのフライングを乗り越え、史上二組目となる兄弟でのSG制覇を決める見事な優勝でした。

優勝インタビューで兄(元志選手)への感謝の言葉を述べるときに感極まっていたのが印象的でした。

おめでとうございます!

気になるフレーズ

無観客ながら大盛況に終わったボートレース住之江でのボートレースオールスターですが、少し気になったことがあったので、それをテーマに記事を書きたいと思います。

BOATRACE ビッグレース現場リポート」というブログをご存知でしょうか。

ボートレース専門雑誌のBOATBoyが特定レースの取材記事を載せてくれているんですが、前検日の記事で気になるフレーズがありました。

出ました、ワースト時計の常連コンビ!

 

ボートレースオールスターの前検タイムを指して述べているんですが、ワースト時計の常連コンビ(いつも展示タイムが出ない選手)というのはどういうことなんでしょうか?

今回はそんな疑問をデータを使って検証してみました。

展示タイムが遅いとは?

展示タイムとは、バックストレッチの150m区間を全速で走行している際の時間を計測したものです。

スロットルレバーを握ったまま全速力で走行するため、モーターの伸び足(最高速)の良さを表す指標として用いられます。

いわば、アクセル全開でまっすぐ走っている状態なので、モーターによる差はあっても、人による差はなかなか出ないのではないかと個人的には思います。

しかし、前述のように展示タイムが遅い選手がいるようです。

遅い理由として何が考えられるでしょうか。

理由①:伸びない調整にしている

選手の調整方針がプロペラを多く回す出足型の場合は、回転を止める伸び型の選手よりも展示タイムが出にくくなります。

ターンの周り足やピット離れを重視する選手は回転上げる傾向にあるようです。

しかし、前検日の場合は前走者の調整がそのまま引き継がれるので、走っている選手の調整はあまり関係がありませんのでご注意ください。

理由②:最大出力で走っていない

モーターの調整方法の一つに「ニードル調整」というものがあります。

Miyajima Kyotei Freaksより引用

エンジンに空気と燃料の混合気を送る際、このニードルを調整することで混合器の比率を決めることができます。

非常に微妙な調整なんですが、一番エンジンのパワーを引き出せるところを探すために選手は苦心しているようです(能見 稔 元選手のブログ参照)。

このニードル調整は、燃料の比率を少なくするほどモーターへの負担が大きくなり、エンジンが“バテる”という状況になるため、展示航走の時は一番いい比率よりもあえて燃料の供給量を多くすることがあるようですういちの江戸川ナイスぅ~っ!#029 参照

これが、展示タイムの遅い選手のいる一番の理由のように思います。

前検や展示航走でモーターに過度な負担をかけてバテさせないために、あえて燃料の比率を多くしておくようにしているのかもしれません。

展示タイムが遅い選手とは?

というわけで、ここからは実際のデータを紹介します。

今回は2020年6月時点でA1級にいる選手のみ(322名)にターゲットを絞って、平均展示タイムを集計しました。

展示タイムは気候や水面状況に影響を受けやすいので、展示タイムに合わせて展示順位も算出しています。

A1級ワースト展示タイム選手

ワースト20の選手を掲載しています。

名前 平均展示タイム 平均展示順位
守田 俊介 6.88 5.3
北中 元樹 6.86 5
吉田 俊彦 6.86 4.9
岡田 憲行 6.85 4.4
中岡 正彦 6.85 4.3
平田 忠則 6.85 4.2
西山 貴浩 6.84 4.4
篠崎 仁志 6.84 3.7
一瀬 明 6.84 4.6
横川 聖志 6.84 4.8
長尾 章平 6.84 3.7
森高 一真 6.84 4
竹田 和哉 6.84 4.5
前野 竜一 6.84 3.3
大神 康司 6.83 4.1
天野 晶夫 6.83 3.9
桐本 康臣 6.83 4.4
岡村 仁 6.83 3.7
秋山 広一 6.83 4.2
作間 章 6.83 4.3

SG出場ワースト展示タイム選手

過去1年間でSGに出場したことのある選手(121名)に限定し、ワースト20の選手を集計した表がこちらです。

名前 平均展示タイム 平均展示順位
守田 俊介 6.88 5.3
中岡 正彦 6.85 4.3
平田 忠則 6.85 4.2
西山 貴浩 6.84 4.4
篠崎 仁志 6.84 3.7
森高 一真 6.84 4
金子 拓矢 6.83 4.4
若林 将 6.82 3.8
市川 哲也 6.82 4.6
山田 祐也 6.82 4.3
今村 豊 6.82 3.6
柳沢 一 6.82 3.9
前田 将太 6.82 2.9
江口 晃生 6.82 3.7
重成 一人 6.81 4
江夏 満 6.81 3.7
鶴本 崇文 6.81 3.8
池永 太 6.81 3.2
山崎 智也 6.81 4.1
上條 暢嵩 6.81 3.5

ワースト常連選手

ブログにも書いてあったように、“ワースト常連”の守田選手が最も遅く、平均展示タイムは6.88のようですね。

平均展示順位は5.3と、ほとんど5位か最下位のどちらかのようです。

この表に掲載されている選手は、展示タイムだけでモーターの調子を判断しにくい選手なので注意が必要です。

もう一人常連として記載してあった新田雄史選手ですが、SG出場選手内でも中間位の60位と決して遅い選手ではないようです。

しかし、前検でのデータではないため、前検のみに限定すると結果は変わるのかもしれません。

まとめ

今回は展示タイムが遅くなりやすい選手を特集しました。

ここに掲載されている選手は展示タイムが遅くても好成績を残せている選手なので、展示タイムをチェックするときは注意するようにしましょう。

特に守田選手はSG級選手の中でもダントツに遅い選手なので、注意しておきましょう。

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